台風による太陽光発電の被害事例|風圧強度と故障対応・頼れる保険紹介

台風や大雨など自然災害が起きた場合、太陽光発電システムやその周辺において甚大な被害を及ぼすケースがあります。

どのような原因でどの程度の被害が想定されるのか、経済産業省がまとめた事例をもとに紹介します。

台風などの自然災害による太陽光発電の被害事例

発電所構内で⼟砂崩れが発⽣

土砂崩れによる被害 (画像引用:経済産業省|今夏の太陽電池発電設備の事故の特徴について)

野立て型太陽光発電所は土地代が安い郊外に設置されるケースが多くあります。
特に傾斜のある山や地盤が緩い土地などに設置した場合は、土砂崩れによる被害を受けることが考えられます。

経済産業省より公開された「今夏の太陽電池発電設備の事故の特徴について」では、自然災害による太陽光発電システムの被害がまとめられています。

2018年7⽉、兵庫県姫路市では連日の豪雨によってシステム容量750kWの野立て型太陽光発電所構内に土砂崩れが発生しました。

当該発電所は、傾斜のあった土地に切土・盛土を行い整地されており、人工的な傾斜(のり面)に雨水が流れ込んだことで土砂崩れが発生し、太陽光パネル3,534枚中1,344枚、パワーコンディショナは70台中60台が破損しました。

地盤が弱い土地や傾斜がある土地の設置は基本的には推奨されてません。
しかし、地盤が緩い土地に対して支持層までスクリュー杭を打ち込むか、基礎杭にコンクリートを流しこことで地盤の緩みを補填する方法があります。

パネルが架台から引きちぎられ⾶散

台風による被害 (画像引用:経済産業省|今夏の太陽電池発電設備の事故の特徴について)

2018年9月4日、25年ぶりに「非常に強い」勢力で日本に上陸した台風21号では、近畿地方を中心に甚大な被害が出ました。

⼤阪府⼤阪市住之江区の沿岸部にある施設の屋上では、強風の影響によって設置された28,160枚の太陽光パネルのうち13,780枚が飛散・破損し、破損したパネルからは原因不明の発⽕も見られました。 また、ケーブルラック本体の倒壊及びラック蓋・⽀持⾦具の⾶散により、近隣建物の損傷も発生しました。

屋根置き型の太陽光パネルでは、強風の影響を受けやすくなります。
被害を抑えるためにも、太陽光パネルの高さ調整、固定具のボルトやケーブルのの状態を定期的に点検しましょう。

パネルのカバーガラス⾯がひび割れ

ソーラーパネルのガラス割れ被害 (画像引用:経済産業省|今夏の太陽電池発電設備の事故の特徴について)

台風では直接的な被害はもちろん、周辺環境によっては強風による飛来物の衝突でシステムが破損するケースがあります。

2018年の台風21号では、⼤阪府⼤阪市此花区にある野立て型太陽光発電所において、強風により太陽光パネルの耐荷重を超える外部圧力が生じ、さらに構内外の砂利が飛散し太陽光パネルのガラス面に衝突したことで、36,480枚の太陽光パネルのうち13,413枚が破損しました。

耐荷重性能に優れた太陽光パネルを使用することや、砂利の飛散対策として粉塵⾶散防⽌剤の散布することで被害を抑えられます。

導入メリットや電気代削減、節税効果などを詳しく解説

ご不明点やご質問などお気軽にお問い合わせください

太陽光発電設備はどれくらいの台風(強風)まで耐えられるのか?

瞬間最大風速60m/sの風に耐えられるよう設計

台風による太陽光発電への被害は、これまで以下のような事例が報告されています。

  • 強風による太陽光パネルなどの設備の飛散
  • 風圧または飛来物による太陽光パネルの損傷
  • 架台やパネルの歪み
  • 太陽光発電設備の水没

太陽光発電設備は、土地や屋上など屋外に設置されるため、台風などの影響を直接的に受けることになります。
そのため、JIS(日本産業規格)「JIS C 8990」規定により、太陽光パネルの耐風圧荷重は2,400Pa(風速毎秒62メートルに耐えられる設計)と定められています。

取りつけ強度に関しては「JIS C 8955」規定により、建築構造物の建築基準にもとづいた「基準風速」を参考にして、その範囲で設置可能となっています。

また、基準風速は地域によって異なるため、設置する地域の基準風速を確認しましょう。

沿岸部など基準風速が高い地域での設置に関しては、太陽光パネルの高さを調整することなどの対策があります。

全国の基準風速は、株式会社LIXILが提供するこちらの資料で確認できます。

2017年に風圧荷重の見直しが行われた

再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の創設以降、太陽光発電システムの設置数は増しています。

経済産業省は、2015年8月に発生した台風15号による太陽光発電設備の被害状況を踏まえ、安全性の強化を図りました。
そして2017年3月に「JIS C 8955(2017)」が発行され、風圧荷重等の計算方法の見直しが行われました。
さらに、2018年10月1日には「電気事業法に基づく電気設備の技術基準の解釈」を改訂し、従来より耐風圧の基準数値を高く修正しています。

風圧荷重 (画像引用:経済産業省|太陽電池発電設備をめぐる最近の動向と対応の方向性

太陽光発電設備の耐風圧性は、風力係数(パネルが受ける風の強さ)と周囲の構造物の影響を踏まえた風の速度圧を乗じることで算出できます。

2004年基準から2017年基準に変更されたことで、設置方法や周辺環境によっては従来の約2.3倍の耐風圧性能が求められるようになりました。

太陽光発電設備が台風で故障した場合の対応

50kW以上の事業用太陽光発電は事故報告義務が課されている

経済産業省が取りまとめる電気関係報告規則の第3条によると、50kW以上の事業用太陽光発電事業者は、設備において同規則に記された事故があった場合に経済産業省へ報告しなければならないと明記されています。

事故の際、発電事業者は、電話・FAX・メールのいずれかの方法で設置場所を管轄する産業保安監督部長へ事故の発生を知った時から24時間以内に報告し、事故の発生を知った日から30日以内に事故の詳細を様式13を提出して報告することが義務づけられています。

報告義務が発生する例 (詳細は 電気関係報告規則の第3条 をご確認ください。)

  • 感電などの電気工作物に係る死傷事故
  • 電気火災事故
  • 電気工作物に係る物損等事故

50kW未満の低圧太陽光発電でも報告義務が検討されている

2021年4月1日から電気関係報告規則が改正されています。

主な改正内容としては、電気事業法第38条第2項で定める小出力発電設備のうち、10kW以上50kW未満の太陽光発電設備及び、20kW未満の風力発電設備の事故についても報告義務の対象となりました。(なお、10kW未満の太陽光発電設備は対象外。)

事故が発生した場合、発電設備のある場所を管轄する産業保安監督部に報告が必要です。

事故報告時の提出資料は以下の参考様式が用意されています。

名称 Word形式
電気事故速報(24時間以内) 参考様式
電気事故詳報(30日以内) 参考様式

電気事故詳報の作成時には「詳報作成支援システム」の利用が推奨されています。

導入メリットや電気代削減、節税効果などを詳しく解説

ご不明点やご質問などお気軽にお問い合わせください

台風などの自然災害に対する保険について

メーカー保証では自然災害に対応できない

太陽光発電の導入にあたり、メーカー保証の種類と保証範囲について説明します。
メーカー保証には「製品保証」と「出力保証」の2種類があります。

製品保証は、製造上の不良や欠陥があった場合にその損失を補填します。
そのため、製造と関連性のない台風などの自然災害や事故による損失は保証対象にはなりません。保証期間はメーカーによって異なりますが10年が一般的です。

出力保証は、太陽光パネルの発電量を一定期間保証します。
たとえばハンファQセルズの産業用太陽光発電モジュール( Q.PEAK DUO-G9シリーズ)の保証説明では「公称最大出力の98%を25年間保証」と記載されています。
Q.PEAK DUO-G9シリーズの太陽光モジュール(390W)の公称最大出力の98%である382.2Wが初年度保証値です。
2年目以降は年間0.5%を下限に出力低下が保証され、25年目の公称最大出力の86%である335.4Wが保証されます。

自然災害にも対応する企業総合保険

企業総合保険(自然災害補償)は、自然災害などによる被害を補填する補償保険です。
太陽光発電事業に関する一式(太陽光パネル、パワーコンディショナ、遠隔監視システム、架台、金具、ケーブルなど)が補償対象です。
企業総合保険で保険金の支払対象となる事例は次のとおりです。

火災・落雷・破裂・爆発・風災・ひょう災・雪災・車両、飛行機の衝突など等・構内外部からの物体の衝突など・盗難・水災・電気的または機械的事故・その他偶然な破損事故など

地震・津波・戦争などは補償対象外となります。

対人・対物補償の施設賠償責任保険

施設賠償責任保険とは、太陽光パネルが飛散して人的被害や財物に損害を与えた場合などに、その損害に対し補填される保険です。
たとえば、屋上などに太陽光パネルを設置している場合、強風などで飛散した太陽光パネルなどが従業員に衝突し被害が出た場合や、重機などの設備に衝突して故障してしまうなど、自然災害による二次被害も考えられます。

施設賠償責任保険に加入していることでこれらの重大な事故に対してカバーできます。

施工会社の保証

太陽光パネルの取り付け工事を行う施工会社には、施工瑕疵が原因となる不具合や事故を保証する「施工保証」が備わっている場合があります。

保証内容や保証期間は施工会社によって異なるため、その他保証に関して事前に確認が必要です。また、施工保証が付帯していても100%信用することはできません。

保険会社との保証契約を締結していない施工会社であれば、何かしらの理由をつけて保険金の支払いを拒否されたり、施工会社が経営破綻となった場合も補償が受けられなくなるケースがあります。

そのため、施工会社の経営状況の確認や、施工会社がどのような保険に加入しているのかなど、しっかりと把握しておくことをお勧めします。
太陽光設置お任せ隊では、東京海上日動火災保険株式会社との保証契約(「自社責任施工保証」)を締結しております。

万が一、当社の施工瑕疵により生じた身体障害及び財物損壊に起因する賠償を補償しております。

まとめ

太陽光発電設備はJIS(日本産業規格)によって厳格に仕様が定められています。
近年の気候変動に伴い、台風や大雨など自然災害による被害規模は拡大しており、発電事業者の方の中には、実際に被害にあわれるケースもあります。

万が一、運用している太陽光発電設備が被害にあった場合は、電気関係報告規則にもとづき産業保安監督部長または経済産業大臣へ速やかに報告することが義務づけられています。

自然災害補償に加入しておくことで一定の損害を補填できるため加入を推奨します。
施工保証に関しては、施工依頼先の企業が保険会社と保証契約を締結しているか、また経営状況を踏まえて見定める必要があります。

導入メリットや電気代削減、節税効果などを詳しく解説

ご不明点やご質問などお気軽にお問い合わせください

関連ダウンロード資料
  • *

    太陽光発電を自社の屋根に設置する条件・維持費・メンテナンス

    ダウンロード

  • *

    工場の省エネ対策アイデア|8つの施策と省エネのメリットを解説

    ダウンロード

  • *

    省エネ法とは|規制される分野と知っておきたい改正内容

    ダウンロード

  • *

    即時償却・特別償却のメリットデメリット | 中小企業の節税テクニック

    ダウンロード

 執筆者
*
太陽光設置お任せ隊編集部
太陽光発電及び屋根工事のプロとして全国で5,000件以上の産業用太陽光発電の企画・設計・施工管理を手がける太陽光設置お任せ隊の記事編集チーム。豊富な実績より培ったノウハウと専門家からの取材に基づいた情報を初めての方でも分かりやすくお伝えします。現在、第一種電気工事士・宅地建物取引士・一般耐震技術認定者・エネルギーマネジメントアドバイザー等有資格者が在籍。
企業向け太陽光発電コラム

投資家向けコラムはこちら

新型コロナウイルス感染予防対策について
新型コロナウイルス感染症に対するお客様とスタッフの安全を最優先に考え、担当者がお伺いの際は事前にPCR検査を行い陰性を確認の上、マスク着用および消毒を徹底しております。
PAGE TOP