太陽光発電を屋根に設置しても大丈夫?|屋根による向き不向き・導入時の注意点も解説

屋根や屋上に太陽光パネルが設置された住宅やオフィス、工場などを見かける機会も増え、今や珍しい光景ではなくなりました。
そんな自家消費型の太陽光と呼ばれる太陽光システムには、『適切な屋根のタイプ』や『適切な設置方法』があります。 太陽光発電は正しい知識を持って、さまざまな工夫することで、より良い発電効率で自家消費が行えます。
特に重要なのが、太陽光パネルを取りつける屋根選びと設置方法です。太陽光パネルはどのような屋根に設置しても良いというわけではなく、設置場所や方角、角度などによっても発電効率は大きく変わってきます。
そこで今回の記事では、太陽光発電にはどのような屋根が適しているのか、設置方法のポイントや設置後のメンテナンスなども含めて詳しく解説します。これから太陽光発電システムの導入を検討しており、電力の自給自足を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
関連記事:工場やオフィスの屋上で自家消費型太陽光発電を行うメリット|導入までの流れや注意点を解説
目次
自家消費型太陽光発電が向いている屋根とは?
オフィスや工場などで使用する電力を自社で賄う「自家消費型太陽光発電」のシステムを導入する場合、どのような屋根に太陽光パネルを設置するのが適しているのでしょうか。
太陽光発電に向いている屋根の特徴と、反対に不向きな屋根の特徴についても解説します。
太陽光発電に向いている屋根
屋根に太陽光パネルを設置する場合には、屋根の「方角」「角度」「形状」を見極める必要があります。それぞれのポイントは以下のとおりです。
屋根の方角
真南がベストとされています。東や西の方角でも設置は可能ですが、真南に比べると発電効率は低下する傾向にあります。
屋根の角度
基本的には30度程度の傾斜に設置すると発電効率が高まりますが、地域によって最適な傾斜の角度は若干異なります。たとえば、北海道の場合は35度程度、沖縄であれば20度程度が理想とされています。
屋根の形状

太陽光パネルは四角形のため、屋根も四角形のほうが設置のレイアウトがしやすく多くの太陽光パネルを配置できるでしょう。また、より多くの設置面積を確保する意味では、南向きに傾斜がついている片流れ屋根、もしくは切妻屋根が適しています。
また、ビルの屋上などのように平面な形をしている屋根の場合も、太陽光パネルの設置時に自由に角度を調整できるため適しているといえるでしょう。
太陽光発電に向いていない屋根
では反対に、太陽光発電に向いていない屋根とはどのようなものなのでしょうか。こちらも上記で挙げた3つのポイントをもとに解説します。
屋根の方角
北の方角は発電効率が低いため、太陽光パネルの設置には不向きといえます。
屋根の角度
30度を基本として、極端に傾斜の浅い屋根、または傾斜の急な屋根は発電効率が低くなるため、太陽光パネルの設置には不向きといえます。
ただし、上記で紹介したようにフラットな平面上の屋根であれば、設置時に角度を自由に調整することも可能です。
屋根の形状

北向きの片流れ屋根や、南向きの屋根面積が極端に小さい屋根の場合、南向きに太陽光パネルを設置することが難しいため、不向きといえます。
また、当然のことではありますが、周辺に大きな建物や樹木などがあり、影によって十分な日当たりが確保できない屋根も太陽光発電には不向きといえるでしょう。
太陽光発電の屋根への設置方法
屋根へ太陽光パネルを設置する場合、おもに「据え置き型」と「一体型」とよばれる2つの方法があります。それぞれの設置方法の違いを紹介しましょう。
1. 据え置き型
据え置き型とは、既存の屋根材の上へ専用の架台を設け、架台で太陽光パネルを固定・設置する方法です。築年数が古い建物の屋根や、強度が足りない屋根であっても補強したうえで架台を設置できるため、幅広い建物に対応できます。
ただし、強風などによる破損を防ぐため、設置の際には専門的な知識やノウハウが求められます。信頼できる施工業者選びが重要なポイントといえるでしょう。
2. 一体型

(画像引用:屋根材一体型|京セラ)
一体型とは、屋根の一部に太陽光パネルを組み込んだ状態で施工・設置する方法です。据え置き型のように架台を設置する必要がなく、文字どおり屋根と一体化するため、きれいな仕上がりとなります。
一方で、既存の建物に設置するとなると屋根の工事も含めて大規模な施工が必要です。新築の屋根に設置する際には設計士も入れて検討しましょう。
太陽光パネルを屋根へ設置する際の注意点

オフィスや工場の屋根へ太陽光パネルを設置する場合、どのようなポイントに注意すべきなのでしょうか。4つのポイントに絞って紹介します。
設置する屋根の方角・角度
「太陽光発電に向いている屋根」のステップでも紹介したとおり、太陽光パネルはできるだけ真南に設置したほうが高い発電効率が期待できます。そのため、屋根に設置する際には方角や角度も微調整しながら、できるだけ広範囲に長時間にわたって日光が当たるようにしましょう。
施工不良による雨漏りなどのリスク
特に据え置き型の場合に注意したいのが、雨漏りのリスクです。架台を設置する際、屋根材へ穴を開ける必要があり、施工が不十分だと隙間から雨水が侵入してきます。
これを防ぐため、施工時には隙間が生じないようコーキング剤とよばれる充填剤を注入します。しかし、経年劣化によってコーキング剤にヒビ割れなどが生じ、雨漏りの原因になるケースもあるため注意が必要です。
業者選びは慎重に
太陽光発電システムの導入にあたって、信頼できる施工業者を選ぶことは重要なポイントです。
投資向けや家庭用の太陽光発電において「工事費無料」と謳っているにもかかわらず、それ以外の名目で法外な費用を請求してきたり「モニター価格」と称しつつ実際は相場よりも高額な費用が請求されたりするケースもありました。
企業向けの太陽光発電では施工力が重要であることから、上記のような悪質なケースは稀です。とはいえ、あらかじめホームページなどを見ておき、これまでの『実績の数』や『クチコミの有無』や『会社規模』を確認しておくことは業者選びにおいて大切といえます。
パネルの重さによって屋根に負荷がかかる
メーカーや製品によっても異なりますが、太陽光パネルは1枚18kgから20kg程度の重量があります。大量のパネルを設置することで発電量は多くなりますが、その分屋根にも負担がかかることも事実です。
特に古い建物で屋根の劣化が進んでいる場合には、そのままの状態では施工ができず補強工事が必要になるケースもあります。
太陽光発電を屋根に設置するまでの流れ

太陽光発電を屋根に設置する場合、発電システムの規模によっても異なりますが、小規模なオフィスや住宅の場合は3日から4日程度で施工が完了します。契約から引き渡しまでどのような流れで進むのか、それぞれのステップに分けて紹介しましょう。
1. 現地調査から契約
建物の立地や屋根の状態、屋内への配線引き回しルートの確認、蓄電池やパワーコンディショナーなどの設置場所なども含めて現地調査を行います。そのうえで、自社に適した規模のシステムを選定し正式に契約を結びます。
2. 架台の設置からパネルの取りつけ
取りつけ作業の当日は、屋根のどの部分に太陽光パネルを設置するかを決めた後、ポイントに合わせて架台を設置します。その後、太陽光パネルに配線を繋ぎながら架台へ設置していきます。
太陽光発電の規模が大きくなればなるほど、架台と太陽光パネルの設置には工数を要します。
3. 周辺機器の設置
屋根や屋上へ太陽光パネルの設置が完了したら、パワーコンディショナーや蓄電池などの周辺機器を設置し、屋内へ電気を引き込むため分電盤との接続工事を行います。この時、一時的に停電させてからの作業となるため、その間は社内で電気を使用できません。
4. 動作確認・引き渡し
一連の作業が完了したら、システムが通常どおり機能しているかを確認するためデータを測定し、問題がなければ工事完了・引き渡しとなります。
なお、小規模であれば施工完了までの期間で3日から4日と紹介したのはあくまでも施工作業から引き渡しまでの日数であり、商談や契約、現地調査までを含めるとそれ以上の日数を要します。
また、太陽光パネルや周辺機器などの在庫状況によっては、取り寄せに日数がかかる場合もあるため、事前に施工業者へ確認しておきましょう。
契約までの流れに関しては、こちらの記事で解説しています。
自家消費太陽光発電の設置までの流れや手続き|問合せ前の準備を解説太陽光発電の屋根を設置した後のメンテナンス
太陽光発電は設置工事が完了したからといって、メンテナンスフリーで使い続けられるものではありません。どのようなメンテナンスが求められるのか、具体的な内容とメンテナンス費用についても紹介しましょう。
メンテナンス内容
太陽光発電は規模に応じて定期的なメンテナンスを行わなければなりません.工場や大規模なオフィスなどに太陽光発電を導入する場合には、定期点検も含めて依頼できる施工業者を選ぶことがおすすめです。
また、50kW未満の場合には、必要に応じて目視点検と数値測定を行いましょう。目視点検は、パネルの表面に汚れが付着していないか、パネルが破損していないかを確認し、必要であればパネルの表面を清掃します。
数値測定についてはサーモグラフィーによる発熱点検やセルラインチェックなどがありますが、いずれも専用機器が必要なため業者へ依頼しましょう。
メンテナンス費用について
業者による点検やメンテナンスの費用相場は太陽光発電の規模によっても多少異なるものの、小規模な設備であれば月額1万円程度が相場とされています。
ただし、大規模な太陽光発電となると点検にも時間がかかるため、別途見積もりが必要になります。
まとめ
太陽光発電は単にパネルを屋根の上に設置すれば良いというわけではなく、設置場所や条件に応じてさまざまな調整が必要です。また、設置条件によっても発電効率は大幅に変わることも事実です。
せっかく太陽光発電を導入するのであれば、ランニングコストの削減に繋がるよう、信頼できる施工業者へ依頼しましょう。
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自家消費型太陽光発電の概要やメリット・見積もりのポイントは以下の記事で解説していますので、こちらもぜひご覧ください。
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