太陽光発電と相性が良い屋根の3つの特徴とは?設置方法や注意点も解説

電気代削減や環境対策の一環として、多くの住宅や事業所では、屋根を活用して太陽光発電システムを設置するニーズが高まっています。

その際、太陽光パネルの効率は、設置場所・方角・角度などによって大きく変わるため、どのように屋根に設置するか慎重に検討することが重要です。

この記事では、太陽光発電に適した屋根の条件・設置のポイント・屋根設置時の注意点について詳しく解説します。

事業所の屋根への太陽光発電システム導入を検討している企業担当者の方とって、特に役立つ情報となっていますので、ぜひご一読ください。

太陽光発電と相性が良い屋根の3つの特徴

昨今の太陽光発電の主流である「自家消費型」では、多くの場合、太陽光パネルを屋根に設置します。太陽光発電の設置と相性が良い屋根の特徴を3つご紹介します。

南に向いている屋根

太陽が東から西へ移動することや、日本が北半球に位置することを考慮すると、最も効率的に発電できるのは「真南」を向いた屋根ですが、南西や南東向きの屋根でも十分な発電が期待できます。

一方で、日射量が少なくなる北向きの屋根は、太陽光発電との相性が悪いです。そのため、自宅や事業所の屋根がどの方向に向いているかを事前に確認することが重要です。

太陽光パネルの方角ごとの発電効率
太陽光パネルの方角ごとの発電効率

なだらかな傾斜がある屋根

太陽光発電に適した屋根の特徴の1つは、なだらかな傾斜のついた屋根です。

太陽光パネルは、真上向きよりも一定の角度を持っている方が日光を受けやすく、その結果発電量が増加します。

理想的な太陽光パネルの角度は約30度です。

しかし、急勾配の屋根や平坦な屋根であっても、架台の角度を調整することで、太陽光パネルをこの理想的な角度に近づけることが可能です。

正方形または長方形の形状をした屋根

太陽光発電と相性が良い屋根の特徴の1つは、正方形や長方形のような整った形状をしている屋根です。

太陽光パネルの発電効率は、パネルの配置(レイアウト)によっても変わります。

そのため、正方形や長方形のような形状の屋根は、パネルを自由に配置しやすく、発電効率を高め、見栄えも良くすることができます。

特殊な形状の屋根にも太陽光パネルの設置は可能ですが、形状が複雑で面積が限られている場合、設置が困難なことがあります。

屋根の形状に沿った太陽光発電の設置方法

ここまで太陽光発電システムと相性の良い屋根の特徴を3つお伝えしました。

続いて、屋根の形状ごとに太陽光発電を設置する際のポイントについて紹介します。

屋根の種類
屋根の種類
  1. 切妻屋根(きりつまやね)
    太陽光パネルを2面の屋根板に設置できるため、両面が東向き西向きでも問題ありません。
    また、片面が北向きでも、南向きの面に太陽光パネルを設置することで十分な発電量を確保できます。
  2. 寄棟屋根(よせむねやね)
    1面あたりの屋根面積が比較的小さいですが、北面以外の方角に太陽光パネルを設置することで十分な発電量が確保できます。
  3. 片流れ屋根
    北向きの片流れの場合は太陽光パネルの発電量が低くなるケースがありますが、南向きの片流れ屋根は、発電効率が良い方角に向けて太陽光パネルを搭載できるため、発電量を高めやすいです。
  4. 陸屋根
    傾斜がなく工事やメンテナンスがしやすい屋根です。
    しかし、雨水が溜まりやすいため、太陽光パネルの設置工事では防水シートなどの雨漏り対策を施す必要があります。
  5. 無落雪屋根(スノーダクト)
    屋根の端から中心にかけて逆方向に傾斜をつけることで、屋根の外側への落雪を防ぐように設計されています。
    太陽光発電との相性に関しては、主に積雪地域へ設置することが想定されますので、毎年の積雪量を考慮して設置を検討する必要があります。

上記以外にも屋根の形状には種類があります。太陽光パネルを取り付ける際は、屋根の形状や特性を生かした配置で設計を施す必要になります。

屋根の材料と太陽光発電との相性

屋根に使用されている素材(屋根材)によっては、太陽光パネルが設置出来ない場合があります。

下記は、一般的に普及している屋根材の種類と太陽光発電の設置可否をまとめた表です。

瓦屋根
プレスセメント瓦屋根 ○(劣化が激しい場合は不可)
住宅用平型スレート屋根 ○(スリットがあるものは不可)
住宅用波型スレート屋根 ✕(劣化が激しい場合は不可)
プレスセメント瓦屋根 ○(金属を固定できないため)
シングル材 ○(スリットがあるものは不可)
金属横葺屋根
金属心木なし瓦棒
金属心木あり瓦棒
金属心木なし瓦棒
金属折板屋根 ○(素材により一部不可)
銅板葺屋根 ✕(架台と屋根の接触部が腐食しやすいため)
波板葺屋根 ✕(設置強度不足のため)
草木系素材 ✕(設置強度不足のため)
重ね葺屋根 ✕(金具を固定できないため)

上記は一例です。また、設置不可の屋根材の場合でも、補修工事などを施すことで、太陽光発電システムを設置可能な状態にすることが可能なケースがあります。詳しくはお問い合わせください。

屋根に太陽光発電を設置する際の注意点

太陽光発電と相性の良い屋根の種類を説明しました。ここからは、実際に太陽光発電を屋根に設置する際に、とくに気をつけたい注意点をお伝えします。

注意点1.屋根に太陽光パネルを設置するための面積が必要

屋根に太陽光パネルを設置する際、太陽光発電の設備容量に合わせて、設置スペースを確保する必要があります。

太陽光発電の設備容量に対して、設置に必要な面積は下記の通りです。

容量 傾斜屋根の面積 陸屋根の面積
10kW 100㎡ 150㎡
30kW 300㎡ 450㎡
50kW 500㎡ 750㎡
100kW 1,000㎡ 1,500㎡

太陽光発電の導入に必要な屋根の面積の目安

表からわかるように、陸屋根より傾斜のついた屋根のほうが、より少ない面積で多くの太陽光パネルを設置しやすい傾向にあります。

工場の屋根に太陽光パネルを設置するために必要な面積とは?計算方法や注意点を解説

注意点2.屋根の耐荷重を考慮する必要がある

太陽光パネルを屋根に設置する際は、建物の耐荷重を考慮することが重要です。
太陽光パネル1枚あたりの重さは約15kgです。

仮に、約200枚のパネル(システム容量70kW程度)を使用する場合、屋根の上に約3,000kgの重さがかかることになります。

そのため、屋根面積が広くても、耐荷重を超えると、建物の耐震強度に悪影響を及ぼす可能性があります。

注意点3.屋根の状態に応じて防水加工や補修工事が必要になる場合がある

太陽光パネルを屋根に設置する際には、雨漏りのリスクが懸念されます。

昨今は、施工技術の向上により、屋根に穴を開けずに太陽光パネルを固定する工法(キャッチ工法)などがありますが、屋根材の種類によっては穴を開けなければ設置が難しいケースがあります。

屋根に穴を開ける場合は、ボルト穴からの浸水を防ぐためにコーキング材や防水シートを使用して防水加工を行います。また、屋根の一部が老朽化している場合には、補修工事も行う必要があります。

しかし、一般的な太陽光発電業者は、屋根工事に関する専門知識を持っていないことが多いです。

そのため、防水加工が不十分であったり、屋根の劣化を見逃すことがあり、太陽光発電を設置した後に雨漏りなどの問題が発生するリスクが高まります。

太陽光発電を屋根に設置するまでの流れ

太陽光発電を屋根に設置する場合、小規模なオフィスや住宅の場合は3日から4日程度で施工が完了します。契約から引き渡しまでどのような流れで進むのか、それぞれのステップに分けて紹介しましょう。

1. 現地調査から契約

建物の立地や屋根の状態、屋内への配線引き回しルートの確認、蓄電池やパワーコンディショナーなどの設置場所なども含めて現地調査を行います。そのうえで、自社に適した規模のシステムを選定し正式に契約を結びます。

2. 架台の設置からパネルの取りつけ

取りつけ作業の当日は、屋根のどの部分に太陽光パネルを設置するか決めた後、ポイントに合わせて架台を設置します。その後、太陽光パネルに配線を繋ぎながら架台へ設置していきます。

3. 周辺機器の設置

屋根や屋上への太陽光パネルの設置が完了したら、パワーコンディショナーや蓄電池などの周辺機器を設置します。

その後、屋内へ電気を引き込むため分電盤との接続工事を行います。この時、一時的に停電させてからの作業となるため、その間は社内で電気を使用できません。

4. 動作確認・引き渡し

一連の作業が完了したら、システムが通常どおり機能しているか確認するためにデータを測定し、問題がなければ工事完了・引き渡しとなります。

なお、小規模であれば施工完了までの期間で3日から4日と紹介したのはあくまでも工事開始から引き渡しまでの日数であり、商談や契約、現地調査までを含めるとそれ以上の日数を要します。

また、太陽光パネルや周辺機器などの在庫状況によっては、取り寄せに日数がかかる場合もあるため、事前に施工業者へ確認しておきましょう。

契約までの流れに関しては、こちらの記事でも解説しています。

太陽光発電で自家消費するには?手続きや設置までの流れを解説

太陽光発電で屋根が傷むリスクはある?

結論からいうと、太陽光発電システムの設置によって屋根が傷む可能性があります。

先述したように、 太陽光パネルは1枚あたり約15kgの重さがあり、それを複数並べるので、住宅や事業所の屋根には常に重量がかかります。

もし、屋根に太陽光パネルを載せられる強度があるか心配な場合は、補強工事をしたり、屋根が耐えられる分だけ設置したりするなどの対策があります。

太陽光発電で屋根が傷む要因

設置業者の知識不足
太陽光パネルを屋根に設置するためには、「穴をあけて取り付け用の金具で固定」するケースが多数です。
業者によっては屋根または太陽光発電に対する知識が少なく、屋根を傷めるミスをしてしまうことが散見されます。
防水処理が甘く雨漏りが起きる
太陽光パネルの設置には、屋根に穴をあける作業が伴います。
ここで防水塗装をきっちり行えば雨漏りする心配はないのですが、これも業者の知識不足やミスによって、雨漏りが発生するリスクがあります。
屋根の劣化が進んでいる
太陽光パネルの設置は、少なからず屋根に負担を与えるため、屋根の劣化がすでに進んでいる場合は、工事がきっかけで雨漏りなどのトラブルに繋がりかねません。

上記のような屋根の傷みのリスクを減らすためには、太陽光発電と屋根構造の双方のノウハウを保有している業者へ依頼することが重要です。

屋根に太陽光発電を設置するなら専門家に相談!

太陽光発電と屋根工事の相性を考慮する際には、屋根の形状や向きに合わせた効率的な配置、対荷重や防水処理の必要性を理解することが重要です。

そのため、太陽光発電を導入検討する企業は「太陽光発電と屋根工事の双方に詳しい業者」を選ぶことがおすすめです。

ハウスプロデュースは、累計6,500件以上の太陽光発電施工実績と、累計12,000件以上の屋根修繕実績を持つ施工会社です。

一級建築士による耐震チェック、雨漏り対策のための防水加工、屋根の強度と遮熱性能を高める塗装などを含めた、幅広いご提案が可能です。

「太陽光発電に興味があるけど、屋根に設置するのが不安」という企業の方は、ぜひ当社にご相談ください。

当社は以下の特徴を活かし、お客様が安心して太陽光発電の導入を進められるようサポートいたします。

  1. 長期施工保証
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また、導入を検討されるお客様には、電気使用量などをお伝えいただければ無料で導入効果をシミュレーションいたします。

太陽光発電にご興味がある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

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執筆者:株式会社ハウスプロデュース広報部

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当社は、産業用太陽光発電システムのEPC工事を専門に手がけています。経験豊富な電気工事士やエネルギーマネジメントアドバイザーなどの有資格者が在籍。一次情報や専門家からの取材を基に、EPC事業者としての「現場から得たノウハウ」を活かしたコンテンツ作りに取り組んでいます。

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