産業用太陽光発電とは?|家庭用との違いと自家消費型への移行理由を解説
太陽光発電といっても産業用や家庭用の違いがいまいちわからない、どちらを選択すべきか悩むケースも多々あります。
また産業用太陽光発電といえば、これまで投資目的が主流でしたが、現在は自家消費へとシフトしており、自家消費型太陽光発電が注目されています。この記事では、産業用・家庭用の違い、自家消費型太陽光発電が注目されている理由などについて解説します。
目次
産業用太陽光発電と家庭用太陽光発電の違い

産業用太陽光発電と家庭用太陽光発電で、どのような違いがあるのか見ていきましょう。
産業用太陽光発電
産業用太陽光発電とは、発電出力が10kW以上のものを指します。法人・個人の規定はないので家庭用として利用していても10kWを超えるものは産業用として分類されます。
とはいえ、10kW以上の発電を行うにはそれなりの広さが必要となり、たとえばパネル1枚の出力200W・サイズ150cm×100cmとした場合、10kW発電するのにパネル50枚が必要です。
50枚分を並べるには単純に計算すると75㎡が必要ですが、メンテナンス用のスペースなどを考えると、100㎡から150㎡程度の面積確保が求められるため、一般家庭ではなかなか難しい広さといえます。
また、固定価格買取制度(FIT)において、産業用太陽光発電の買取期間は20年間で、買取価格も家庭用とは異なります。
家庭用太陽光発電
家庭用太陽光発電は、発電出力が10kW未満のものです。産業用太陽光発電と大きく異なるのは、「全量買取」は行えず「余剰買取」のみという点です。
「全量買取」は50kW以上と定められているため、家庭用太陽光発電は自家消費して余った分だけを売電する「余剰買取」しかできません。
また、余剰買取の価格は産業用太陽光発電より高く設定されていますが、固定価格買取制度(FIT)の期間は10年間のみとなっています。
産業用太陽光発電の用途は3種類
産業用太陽光発電には、大きく分けて3つの用途があります。
全量買取型太陽光発電
発電した電力を全て売電することを、「全量買取型太陽光発電」といいます。産業用太陽光発電は、従来はこの売電目的が一般的であり、保有している土地を有効活用しつつ、投資が行われてきた経緯があります。
余剰買取型太陽光発電
発電した電力をお店や工場などで使用し、余った分だけを売却することを「余剰買取型太陽光発電」といいます。 家庭用太陽光発電ではこちらが一般的で、産業用太陽光発電では、投資が主流だった頃はあまり見かけないケースでした。
全量自家消費型太陽光発電
発電した電力を売却せず、工場やお店、ビルなどで全て自家消費に充てるのが、「全量自家消費型太陽光発電」です。ここ最近では、全量自家消費型太陽光発電の設置ケース増えつつあります。
自家消費型太陽光発電が注目されている
産業用太陽光発電は投資目的から自家消費型に移行してきています。
そもそも自家消費型太陽光発電とは?
先述していますが、発電した電力を全て工場やビルなどで利用することを自家消費型太陽光発電といいます。
太陽光発電はCO2をほとんど排出しない再生可能エネルギーであるため、省エネ法・温対法対策、RE100・SDGsといった地球環境保全への取り組みに貢献します。
また、自家消費型太陽光発電を設置しておけば、災害時に非常用電源として利用できるというメリットもあります。
自家消費型太陽光発電が注目されている理由

売電価格の低下とFIT終了
自家消費型太陽光発電が注目される理由として、買取価格の低下とFIT終了が挙げられます。
余剰電力買取制度は2009年から開始しており、2012年に固定買取価格制度(FIT)に移行しました。2012年度では買取価格が40円+税(10kW以上)でしたが、2017年度には21円+税(10kW以上50kW未満)と約半額まで下落、2022年度には11円+税(10kW以上50kW未満)まで落ち込んでいます。
そのため、投資目的での太陽光発電を導入するメリットが減り、代わりに自家消費型が注目され始めました。さらに東京電力の業務用電力(契約電力500kW以上)では、電力量料金の単価が1kWhあたり16円から18円程度と買取価格よりも高いため、発電した電気を自家消費して、電力会社から購入する電力を減らす方が経費削減に繋がります。
また、産業用太陽光発電のFIT適用期間は20年であるため、その後は買取価格が保証されません。FITの適用期間終了後に新たに電力買取の契約をする手段もありますが、経済的なメリットを得るためには自家消費への切り替えがおすすめです。
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自家消費型の設置費用

自家消費型太陽光発電の設置にかかる費用を解説します。
自家消費型の設置に必要な費用はおもに4つ
発電設備
太陽光発電設備には、いくつか必要なものがあります。
- 太陽光パネル: 太陽光発電のメインとなる装置で、太陽光によって発電
- パワーコンディショナー: 太陽光パネルで発電した直流電源を、交流電源に変換する装置
- 制御機器・モニター・遠隔監視システムなど: 稼働後の監視やトラブルを防ぐための装置など
- 架台・固定金具・ラックなど: 太陽光パネルを設置する土台など。設置個所によって異なる
このなかでも太陽光パネルは製品によって発電量や大きさが異なるため、設置個所と希望の発電量などを考慮して選択する必要があります。
工事費
太陽光パネルの組み立てや設置、電気工事などが含まれます。資源エネルギー庁のデータによると、2020年の工事費用単価は7.0万円 / kWとされていますが、依頼する業者によって大きく金額が変わる場合があります。
諸経費
諸経費には申請手続きにかかる費用、メンテナンス費用などがあります。専門的な知識が必要となる内容も多いため、専門業者や販売店に代行を依頼するのが一般的です。
また、太陽光発電は定期的なメンテナンスが義務付けられているため、メンテナンス費用はランニングコストとして考えておきましょう。
撤去処分費用
太陽光パネルの寿命は20年から30年といわれています。製品によっては有害物質が含まれているため、新しいパネルに入れ替えたり、発電事業を継続しない場合には、そのパネルを適切に処分しなければなりません。
また、先述したFITの適用期間が終了した際に不法投棄の懸念もあり、2018年4月より処分費用の積み立てが義務化されています。
自家消費型太陽光発電に切り替えるメリット

電気代を抑えられる
自家消費型太陽光発電に切り替えることで、電気料金を削減できます。電力会社に支払う電気料金には、内訳として「基本料金+電力量料金+再生可能エネルギー発電促進賦課金」があります。再生可能エネルギー発電促進賦課金は年々高くなっており、使用量に応じて上乗せされます。

事業所全ての電力を自家発電するのは難しくとも、電力会社から購入する電気を減らせれば経費削減になります。
売電より電気料金が高い
先述していますが、FITによる買取価格は低下しており、現在では電気料金の方が高いケースがあります。たとえば、11円で電気を売るより、16円で買うはずだった電気を削減するほうがお得という考え方です。
そのため、このようなケースでは売電よりも自家消費への切り替えがおすすめとなります。
脱炭素化を目指せる
地球温暖化対策として、世界規模で温室効果ガス(CO2など)の排出削減が求められています。太陽光発電は発電時にほとんどCO2を排出しない再生可能エネルギーですので、脱炭素化に貢献できます。
また、脱炭素化を目指す政策やイニシアチブは複数あり、RE100やSDGsなどと合わせて企業アピールに利用可能ともいえます。
災害時の非常用電源として利用できる
こちらも先述していますが、災害時に停電が起きた際に、非常用電源として利用できます。 ただし悪天候時や夜間は発電できないため、災害対策も兼ねて自家消費型太陽光発電を導入する場合は、蓄電池も併せて導入することがおすすめです。
まとめ
買取価格の低下などの理由から、産業用太陽光発電は自家消費型への移行が推奨されています。
同時に電気料金を抑えられる、災害時の非常用電源として利用できるなどのメリットもあり、現在は売電(投資)目的よりも自家消費型として導入する企業が増えています。
太陽光発電の導入を考えている場合は、自家消費によって自社にどのようなメリットが生じるのかも合わせて検討してみてはいかがでしょうか。
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